麻雀のルールの簡略化 ~知的ゲームとして普及させるために~ ②カン・前半
前回は、私の考えた麻雀の簡略化ルールを提言しました。
今回からそのルールについて具体的に解説していきます。
今回は「カン」についてです。
長くなってしまったので前後半に分けます。
カンは「なくてもよい要素」
新ルールでは「カンなし」としましたが、これは主に次のような理由によります。
- 使用頻度が高くない
- 関連するルールが複雑
- 「例外的な要素」を多く生み出してしまう
順に見ていきましょう。
カンの使用頻度は「2半荘に1回」程度
カンを実戦で使う機会は、それ程多くありません。
今回カンの1局あたりの平均使用率について調べたのですが、残念ながら信頼できるデータは得られませんでした。
ただ、複数の鳳凰民のデータを見ると、おおむね5~6%に収まっていました。
どの程度この数字を信用できるかは疑問です。
しかし、カンが行われるには、同じ牌を自力で最低3枚揃える必要がある上、明槓は裏が乗らないので敬遠されがちです。
また通常テンパイに近くないと、カンは行われません。
以上を考えると、少なくとも使用率が10%を超えるようなことはないでしょう。
仮にカン使用率を5%、1半荘あたり10局とすると、2半荘に1回しか行われないことになります。卓全体ですら1半荘に2回程度です。
これが7.5%だったとしても、一人当たり2半荘で1.5回程度です。
リーチ、チー、ポンに比べて著しく低いと言えますね。
カン絡みのルールは複雑
先に言っておきますが、麻雀に正しいルールはありません。
ローカルルールや細かな違いが山のようにあるからこそ、打つ人とルールを事前に確認し、共有しておくことが大切です。
特にリアルで打つ場合、細かいルールを確認しなかったために、解釈の差でトラブルになることがよくあります。
一応ネットでも、細かいルールを覚えていなかったために損することはあり得ます。
但し、ルールの全てについて一々確認していたのではキリがなく、現実的ではありません。
そのために「簡略化」が必要になってくる訳です。
これらを踏まえた上で、カン絡みで問題になりやすいルールをいくつか見てみましょう。
- 明カンのドラ
明カンのドラについては、打牌後にめくるルールがメジャーと思います。
しかしその捨牌に対し、いつ鳴きが解禁されるのかという解釈は人によってまちまちです。
麻雀には「発声優先」という原則がありますから、例えば
「カンドラがめくられるのを待ってからポンしようとしたら先にチーされた」
などの問題が起こり得る訳です。
また新ドラによって鳴き判断が変わる可能性も軽視できません。
それが4索であれば2~6索はドラ面子に絡みます。
他にも「嶺上開花、槍槓、捨て牌でのロンのそれぞれについて新ドラは乗るのか」
など人によって解釈が異なるであろう問題があり、結局その場において声の大きい人の意見が優先されがちです。
- リーチ後にカンできるケースは?
「特定の場合に限り認められる」ルールが最もメジャーかと思われます。そのルールは色々な形で言われますが、ここでは単純かつ正確に「暗刻としてしか使えない同種牌3枚と、同じ牌をツモって来た時のみカンできる」と表現します。
例)3335666m 789s 北北北
33+35+666 とも 333+5+666 とも 333+56+66とも見られるため、ツモ3mや6mでカンできない。もちろんツモ北はカンできる。
777888999m 1123p
777+888+999 とも 789が3組 とも見られるためツモ7,8,9mいずれもカンできない。
リーチ後のカンにおける問題は、「カンできる条件が複雑で間違えやすい」ことです。
特に前者の牌姿で、待ちが変わらないからといって3mでカンしてしまうという経験は多くの人にあると思います。
これは前述の「暗刻としてしか使えない所しかカンできない」という認識が広まっておらず、単に「待ちの変わるカンはNG」と覚えてしまう、あるいは曖昧なままで打ってしまっているからと考えられます。
場所によってルールが違うというのもあります。
例えば、天鳳では上2つの牌姿で6m以外は問題なくカンできます。
年配者の中には普段「リーチ後のカンは全部禁止」というルールで打つ人もいます。
取り決めが複雑であるために、開始前にはまず確認されず、トラブルになりやすいです。
ここでは列挙に留めますが、他にも
- 国士は暗カンでロンできるか
- 大明カンの責任払いはアリか
- 嶺上開花の時2符つくか
- 四カン流れはどの時点で流局か
- 大明カンによる大三元・大四喜の責任払いを認めるか
- 加カン→暗カンとした場合それぞれの新ドラはいつ乗るのか
- 四カンツの責任払いを認めるか
など、とにかく場所によってまちまちなルールが多いです。
このようにカンはトラブルの温床になり得ます。
2半荘に1回しか使わないことのために、これだけ多くの取り決めを覚えて、4人でルールを入念に確認するというのはどう考えても非効率でしょう。
前半はここまで。
次回は 3.例外的な要素 について見ていきます。